取り組み対応④
■アスペルガー症候群(ASD)のお子さんの主な特徴
アスペルガー症候群という名称は現在使われなくなり、その特徴は「自閉スペクトラム症(ASD)」の診断基準に含まれています。
知的発達の遅れがない、あるいは軽度なケースを指すことが多かったため、特に以下の3つの領域で特徴的な行動や認知の傾向が見られます。
1. 対人関係・社会性の困難
非言語的コミュニケーションの理解・使用の難しさ:表情、ジェスチャー、声のトーンといった暗黙のメッセージを読み取ることが苦手です。
一方的な会話:自分の興味のある話題になると、相手の関心に関係なく一方的に話し続けてしまうことがあります。
暗黙のルールの理解の難しさ:集団の中での「空気を読む」ことや、社会的なマナー、TPOの判断が難しいことがあります。
2. 限定的・反復的な行動・興味
強いこだわりや興味:特定の物事(例:電車、恐竜、特定の科学分野など)に非常に強い関心を示し、徹底的に調べたり、関連する活動に没頭したりします。
ルーティンへの固執:決まった手順や方法が変わることを極度に嫌がり、変更があると強い不安やパニックを引き起こすことがあります。
感覚の過敏さ・鈍感さ:特定の音や光、肌触りに対して過敏であったり(例:特定の服のタグを嫌がる)、逆に痛みや温度に鈍感であったりすることがあります。
3. 特異な認知特性
優れた記憶力・知識:興味のある分野においては、驚くほどの知識や記憶力を発揮することがあります(サヴァン症候群とは異なりますが、特定の才能が突出していることは珍しくありません)。
抽象的な思考の難しさ:曖昧な指示や比喩表現の理解が難しく、具体的で論理的な説明を好みます。
◎ポイント:これらの特徴は、お子さん一人ひとりによって現れ方や強さが大きく異なります。
■適切な放課後等デイサービスの選び方
アスペルガー症候群のお子さんが特性を活かし、安心して過ごし、必要なスキルを習得できる放課後等デイサービスを選ぶためには、以下の点に注目してください。
1. 支援内容・プログラムの専門性
SST(ソーシャルスキルトレーニング)の充実:友人との適切な関わり方、会話の始め方・終わり方、感情のコントロール方法などを、具体的なロールプレイなどを通じて学べるプログラムが用意されているか。
構造化された療育環境:見通しが持ちやすいよう、活動の時間割、場所、やるべきことが視覚的に分かりやすく提示されているか(例:タイマーの使用、イラスト付きのスケジュール表など)。
興味・関心を活かせる活動:特定の強い興味(例:プログラミング、ボードゲーム、特定の創作活動など)を、社会性を学ぶ機会に結びつけるような活動があるか。
2. スタッフの専門知識と対応
ASD特性への理解:スタッフがアスペルガー症候群やASDの特性について深い知識を持ち、その行動の背景にある認知特性や感覚特性を理解しているか。
個別支援計画(個別支援計画)の具体性:お子さんの特性や課題に合わせた、具体的な目標と支援方法が設定され、定期的に見直されているか。
一貫性のある対応:スタッフ間で対応の方針が統一されており、お子さんが安心してルーティンを構築できる環境が提供されているか。
3. 環境面(物理的な配慮)
感覚への配慮:
騒音対策:落ち着いて過ごせる静かな空間(クールダウン・スペース)があるか。
光の配慮:照明が強すぎないか、または調整できるか。
パーソナルスペース:集団活動だけでなく、一人で集中できるスペースがあるか。
4. 保護者との連携 情報共有の頻度と質:施設での出来事だけでなく、お子さんの自宅や学校での様子も踏まえたフィードバックや相談を定期的におこなっているか。
ペアレントトレーニング:必要に応じて、ご家庭での対応方法に関する情報提供やアドバイス(ペアレントトレーニング)が受けられるか。
■施設選びのステップ
ニーズの明確化:お子さんが今、特にどのスキルを伸ばしたいか、また、どのような環境だと不安を感じやすいかを整理します。
情報収集:お住まいの地域の施設をリストアップし、ウェブサイトやパンフレットで支援内容を確認します。
見学と面談:必ず施設を見学し、責任者やスタッフと直接話し、お子さんの特性を伝えた上での具体的な支援方法を聞きましょう。
体験利用:可能であれば、数回程度の体験利用をしてみて、お子さん自身の反応や施設の雰囲気を確かめることを強くお勧めします。
適切な施設を見つけることで、お子さんは自己肯定感を高め、社会生活に必要なスキルを楽しみながら習得していくことができます。