放課後等デイサービスの課題
日本全国における放課後等デイサービスの利用状況と、どのような子どもたち・家庭が利用しているかの概要は以下の通りです。
1. 日本全国の利用者数の現状
厚生労働省の障害福祉サービス等関連データによると、放課後等デイサービスの利用実人員は全国で約30万人〜35万人以上となっており、事業所数は2万カ所を超えています。
2012年の児童福祉法改正により「障害児通所支援」として制度化されて以来、利用者数は右肩上がりで推移してきました。制度創設初期(2012年時点)の利用者は約5万〜6万人程度でしたが、10余年で6倍以上に急増しており、就学期における障害児支援のインフラとして完全に定着しています。
2. どのような人が利用しているか
放課後等デイサービスを利用している対象者やその背景には、以下のような特徴があります。
対象年齢
小学1年生〜高校3年生(6歳〜18歳)の就学児童・生徒
小学校低学年(1〜3年生)の利用割合が最も高く、高学年から中学生・高校生へと進学するにつれて利用率は徐々に下降する傾向にあります。
利用者の障害特性・状態像
身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のある子どもが対象となりますが、実際の利用者内訳には明確な偏りがあります。
発達障害(ASD、ADHD、SLDなど)のある子ども(過半数以上)
ASD(自閉スペクトラム症): 対人関係の構築やコミュニケーションに課題を抱える子ども。
ADHD(注意欠如・多動症): 衝動性や不注意があり、集団行動や集中の維持にサポートが必要な子ども。
SLD(限局性学習症): 読み書きや計算など特定領域の学習に著しい困難を示す子ども。
IQ(知能指数)が境界域(グレーゾーン)や標準域の子ども: 障害者手帳(療育手帳)を持っていなくても、医師の診断書や自治体の判断(受給者証の発行)により利用しているケースが非常に増えています。
知的障害のある子ども
特別支援学級や特別支援学校に通う児童・生徒が多く、日常生活の自立支援や社会性の獲得、生活習慣の定着を目的に利用しています。
重症心身障害児(医療的ケア児含む)
重度の知的障害と重度の身体障害が重複している子ども。看護師や理学療法士などの専門職が配置された「重症心身障害児対応」の専門事業所を利用しています。
利用する家庭環境・保護者のニーズ
利用決定にあたっては、子ども本人の支援ニーズだけでなく、家庭側の事情も強く影響しています。
共働き世帯・ひとり親世帯(「小1の壁」の受け皿)
一般の放課後児童クラブ(学童保育)では集団適応が難しかったり、個別の配慮が行き届かなかったりする家庭において、安全な放課後の居場所として利用されています。
保護者のレスパイトケア(休養・精神的ケア)
障害児育児に伴う保護者の身体的・精神的負担を軽減するため、専門スタッフに子どもを預ける時間を作る目的でも活用されています。
3. 利用目的とサービス形態の多様化
利用者が求めているサービス内容に応じて、事業所のタイプも多様化しています。
自立支援・生活習慣形成型: 日常生活動作の自立や、集団でのルール獲得を目指すタイプ。
学習支援・発達支援型: 放課後の学習フォローや、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)に特化したタイプ。
運動・療育特化型: 理学療法・作業療法やスポーツを通じた身体発達支援を行うタイプ。
重症心身障害型: 医療的ケアや重度障害に特化した個別ケアを行うタイプ。
令和6年度(2024年度)以降の報酬改定では、単なる「時間潰しの預かり」から「総合的な発達支援(5領域:健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」への質的転換が国から厳しく求められており、利用者の真のニーズに応える専門性がより重視されています。